甲状腺は、ホルモンを出す役割の内分泌系のひとつです。のどぼとけのすぐ下にあり、気管に張り付いています。健康な状態の甲状腺は触っても輪郭には触れませんが、病気になると全体が腫れたりシコリができたりします。
これは、女性に多く見られるのが甲状腺の病気なのです。
甲状腺の病気の種類
甲状腺の病気は大きく分けて3つになります。甲状腺ホルモンが出過ぎてしまう病気(バセドウ病)、逆に不足する病気(橋本病)、そして甲状腺の形の異常(良性腫瘍とがん)です。
甲状腺ホルモンは、エネルギーを取り入れて体を元気にし、不要なものを取り除き新陳代謝を活発にする役割があります。そのため、多すぎても少なすぎてもどちらの場合であっても体に影響が出ます。
甲状腺ホルモンの分泌過剰によっておこるバセドウ病は、自己免疫システムが正常に働かないために起こることが分かっています。
その逆のホルモン分泌量低下を引き起こす橋本病では、自覚症状がないことも多くあります。
また甲状腺にできる腫瘍の多くは良性です。がんが発生しても乳頭がんという極めて進行の穏やかながんで、手術で切り取ってしまうことでほとんどの人が完治します。
いずれにしても甲状腺の病気は圧倒的に女性に多く発症します。バセドウ病では男女比が1:4ですし、橋本病は1:20となっています。
甲状腺の病気の症状は、首が腫れるという以外の特徴以外はあまり顕著でないので更年期障害などと間違われ、発見が遅れてしまうこともあるので注意が必要です。
バセドウ病の主な治療法とは
暑がりになり、食欲はあるのに体重は減る。疲れやすく、動悸や手が震えたりして甲状腺が腫れてきます。バセドウ病は微量な採血によるホルモン測定で簡単に診断できます。
治療法は3種類あります。薬物療法と手術療法、そしてアイソトープ治療です。
薬物療法は抗甲状腺薬でホルモンの量を調節していきます。3~4年通院しても薬が減らなかったり検査値に差がなければ違う治療法を検討します。
手術療法は、甲状腺が大きく腫れていたり、薬が効かない人が対象で甲状腺を全摘出します。アイソトープ治療は、放射線ヨードを含んだカプセルを飲んで、増えすぎた甲状腺の細胞を攻撃する方法です。
橋本病の主な治療法とは
血液検査で橋本病と診断されても、すべての人が機能低下症を起こすわけではありません。首の腫れ以外、一生症状が出ない人も大勢います。
首の腫れと疲れやすさはバセドウ病と共通ですが、寒がりになる、便秘がちになる、むくんで太る、うつ状態になる、物忘れがひどくなる、肌がカサカサして老け込むなど逆の症状が多くみられます。
治療法は薬物療法で、足りない分だけ甲状腺ホルモン剤を補充します。このホルモン剤は一生飲み続けることになります。
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